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【エクマットラアカデミーで犠牲祭】(2024.6)

 
イスラム教国のバングラデシュでは、犠牲祭というイスラム教の宗教行事が行われました。
犠牲祭はコルバニ・イードと呼ばれ、イスラム教の聖典であるコーランの物語をなぞり牛やヤギを屠り、その信仰と共にアラーの神に捧げる行事です。
私たちのアカデミーでも毎年犠牲祭を行っているのですが、ヒンドゥー教徒の方々に配慮し (ヒンドゥー教では牛は破壊神シヴァが乗る神聖な動物として崇拝されています) 今年はヤギのみを屠り、牛はお肉となったものを購入し、お料理をしました。
また、あまりにも幼い子どもだと、血や肉の光景がトラウマになってしまうこともあり、アカデミーでは中学生以上の希望者のみ、屠殺を手伝ったり、見学できるようにしています。
実際に「生物」だった牛やヤギを屠殺し、昨日までお世話をしていた対象が動かなくなり「肉」となる瞬間は、命の所在、そして生きること、食べることの罪深さを感じる非常に残酷で痛い瞬間でもあり そうした現実を幼少期から目の当たりにすることは、生物界の仕組み、人間の業を捉える機会となっていると思いますが、 子どもたちがそうしたことと出会うタイミングは、その子の心の成長具合によりそれぞれが望む違う時期にしてあげたいと思う、教育的にはセンシティブな行事でもあります。
ただ、コルバニ・イードは動物を屠殺して肉を分けるだけではなく、コルバニはアラビア語で「カルバ(近さ)」を意味し、この行事を通じてアラーの神の御心に近付くために、努力すること、真摯な気持ちを忘れないことを再確認する機会でもあり、 イスラムの聖地であるメッカでは、世界中のムスリムが集まり巡礼が行われ、また実際に犠牲祭で屠られた肉は三等分され、自分自身、近親者、貧しい人々へと配られるとても重要な宗教行事でもあります。
昨今、牛やヤギの値段は上がり、もはや庶民には手の届かない高級食材となっているため以前のように犠牲祭ができるかどうか難しい状況の中、 今年もダッカにある日本食レストランながさきの田中千鶴さんが、エクマットラのためにと皆さんにお声掛けをしてくださり、犠牲祭のための寄付を集めてくださいました。
先の投稿でも山形病院さんのサポートについて投稿させていただきましたが、毎年のコルバニ・イードもながさき食堂の千鶴さん、そして有志の方々のご協力により、エクマットラアカデミーで犠牲祭が行えていること、本当に有り難く感謝しております。
命の尊さと共に、食べること、生きることへの感謝を胸に、今年も子どもたちはお腹いっぱいお肉を食べました。 三等分したお肉は、地域の方々にも分けさせていただきました。